薩摩版一休さん。

皆さん方の中でも以前TVで放映されていた、一休さんを覚えておられる方も多いと思います。私もトンチの利いたエピソードに笑ったり、感心したものです。このようなトンチの利いた人の話が鹿児島にも伝えられています。大分には「キッチョムさん」熊本には「彦一さん」と同じような話がありますが、鹿児島には「日当山侏儒どん」という人のトンチ話が伝わっています。実在の人物で本名は徳田太兵衛といい、薩摩藩18代藩主島津家久に仕えた武士で、生まれた時から身体が小さく父が大きく育ちますようにとの願いを込めて「太兵衛」と名づけましたがそのかいもなく、成人してからも身長が三尺(90cm)しかなかったといわれています。身体は小さいが、負けん気が強く、ユーモアのセンスが有り、家系も武士としては最下級の家柄でしたが、藩主家久に気に入られてたびたびお城に呼ばれるようになります。家久も藩主としてのストレスを太兵衛のとっぴも無い笑い話を聞くことで癒していたのでしょう。
後年、大抜擢をうけ日当山(現在は霧島市の一部)の地頭職になりました。日当山の住民達も彼の飾らない人柄を愛し、いつの間にか「日当山侏儒どん」と呼ばれるようになりました。400年ほども昔に生きた人ですが、その逸話は100以上伝えられ書物になっています。鹿児島市内の大きな本屋なら郷土関係の欄にいくつか置いてあると思います。