南州神社2


以前、旧庄内藩との話で取り上げた鹿児島市内にある南州神社について書き足りなかった事をいくつか補足させていただきます。隣接する南州墓地にはツアーで来られても必ずと言っていいほど定番の観光スポットです。西郷南州翁の墓を中心に、西南戦争で戦士した薩軍兵士の墓が累々と並んでいます。2〜3年前に観光案内板が追加され、見つけやすくなりましたが、他の墓がすべて桜島を望むように立てられている中で2基だけ並んで反対側を向いている墓があります。薩軍に加わって戦死した福岡(旧黒田藩士)のものです。墓石を立てる時、その事を知った人達が、せめていつでも故郷を眺める事が出来るようにとの思いで、その様に立てられたと聞きます。
他にも14歳〜15歳で散って逝った数名の少年烈士の墓。男兄弟5人全員が戦死した児玉家5兄弟の墓など戦争の悲惨さを物語るものが多くあります。鳥居下の広場の片隅に、徳川家の全権を預かり、西郷と江戸の無血開城を成し遂げ、以来西郷という男の人間性にほれ抜いていた勝海舟が、のちに遺贈した句の刻まれた石碑があり、こう書かれています。
「楡衣を 干そうともせず 子供らの なすがまにまに 果てし君かな。」写真は2基だけ故郷福岡の方を向いて立てられた黒田藩士の墓です。